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平成25年度 国語学研究部会活動報告

兒島靖倫

 私たち国語学研究部会は、齋藤平先生の御指導の下で活動を行っています。正確には、国語学者の大槻文彦が著作の『言海』という国語辞典を用いて、いわゆる読書会を実施しています。この『言海』ですが、これは幾ら読んでも飽きが来ない、面白い書物と言えます。例えば、猫の項目に「人家ニ畜フ小サキ獸、人ノ知ル所ナリ、溫柔ニシテ馴レ易ク、又能ク鼠ヲ捕フレバ畜フ、然レドモ、竊盜ノ性アリ、形、虎ニ似テ、二尺ニ足ラズ、性、睡リヲ好ミ、寒ヲ畏ル、毛色、白、K、黃、駁等種種ナリ」とあるのですが、このように個性の豊かな解説が多いのです。これには芥川龍之介も目に留めたほどであると言われています。

 現在の主な活動内容は、自分に割り当てられた頁から「食べ物」に関する言葉を探し、担当者がそれを読みます。その際、漢字の読みや言葉の意味を、個々に確かめるようにして皆で考え、調べながら読み進めていきます。これにより、難しい漢字や旧字を読むこともできるようになります。これは古典に触れる上で、とても良い学習となるでしょう。

 『言海』は、日本で最初の近代的な国語辞典と言われるもので、明治時代に出版されました。この時代に、国語の確立が求められたのです。それは近代的な国作りのために、西洋の知識が数多く入って来たことや、人々の実際の海外体験の結果によるものでした。この難題に、国語辞書の編纂という形で取り組んだ人物が、他ならぬ文彦氏でした。氏は失敗を繰り返しつつも改良を重ね、国語の基礎を作り上げていきました。そして、後年に次のような言葉を残しています。

 一國(いっこく)の國(こく)語(ご)は、外(そと)に對(たい)しては、一(いち)民族(みんぞく)たることを證(あか)し、内(うち)にしては、同胞一體(どうほういったい)なる公義感覺(こうぎかんかく)を團結(だんけつ)せしむるものにして、卽(すなわ)ち、國(こく)語(ご)の統一(とういつ)は、獨(どく)立(りつ)たる基礎(きそ)にして、獨(どく)立(りつ)たる標識(ひょうしき)なり。

 ところで、『言海』以前の辞書はどうだったかというと、漢字に訓を付けたり、和語に漢字を当てたりする程度で、今のように文法や語源などの体系的な知識を基とした辞書は存在しませんでした。『言海』はその先駆者的存在で、基本語も含めた普通語を五十音で配列し、文語体の漢字カタカナ交じり文で記されていています。その収録されている語数は三万九千百三語で、和語・漢語・洋語と広く渡っています。さらに、近代的な品詞の略号も、初めて用いています。他にも、古語や明治時代の俗語、方言などに注を記し、語釈に段階づけをして用例を載せたのも、日本で最初のことです。これらは後世における国語辞書の軌範となりました。つまり、『広辞苑』も『日本国語大辞典』も『新明解国語辞典』も、『言海』が無ければ生まれていないことになります。このことから『言海』は、非常に枢要な辞書であることが理解できます。

 少しばかり脇道に逸れますが、私は齋藤先生のゼミに所属しておりまして、研究旅行で岩手県の一関市を訪れました。ここは大槻玄沢(文彦氏の祖父で、蘭学の第一人者)の生まれ育った土地で、文彦氏にとっても縁のある場所です。ここに一関市博物館という公共施設があるのですが、常設展示室が五種もあって、その一種が「文彦と言海」でした。こちらには初期の『言海』の他に、『広日本文典』(西洋文法の方法で日本語の文法を体系づけた文法書)の草稿や『大言海』(『言海』の改訂版、没後に完成)の定稿などがありまして、氏の生涯を綴った映像も公開されていました。この研究部会に加入している故か、その偉大さを改めて知りました。

 さて、本研究部会は、その『言海』に改めて光を当て、日本語の諸問題についても取り組んでいます。大学における講義とは大きく異なり、緊張感が全くありません。むしろ、会員の人たちに親近感が湧いてきて、大学での生活が一段と楽しくなります。活動は月に一回と少なめではありますが、「日本語についてもっと知りたい」とか「日本語を通して多種多様のことを学びたい」とか「日本語から日本国の在り方を発見したい」という方は、是非とも足を運んでください。

(三年)

 
 
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