皇學館大学文学部国文学科皇學館大学文学部国文学科
受験生の方へ
入試について
進路状況
在校生の方へ
卒業生の方へ
国文学科とは?
教育と研究・履修モデル
ゼミについて
教員紹介
設備・研究室紹介
国文学会
リンク集
お問い合わせ
皇學館大学ホームページへ

国文学会

 

平成25年度 近代文学研究部会活動報告

北村 美紅

 今年の研究会では、芥川龍之介の『秋』、『二つの手紙』、梶井基次郎の『Kの昇天』、小林秀雄の『Xへの手紙』、萩原朔太郎の『猫町』、三島由紀夫の『金閣寺』について研究した。そして十一月には梶井基次郎の『城のある町にて』の舞台になった松阪へ行き、松阪城を見に行った。

 今回は近代文学で映画になった作品も見てみよう、ということで上映会を開き、江戸川乱歩の『人でなしの恋』や三島由紀夫の『葵上』を鑑賞した。

 近代文学研究部会は、「読書会」という、スタイルで行なっている。毎回発表者が一人作品の資料を作成し、それについての考察を発表し、それに対し他のメンバーが意見を述べたり、発表者の疑問を考えていく。今回は芥川龍之介、梶井基次郎、萩原朔太郎と大正時代を代表する作家を取り上げることが多かった。

 まず、芥川龍之介の『秋』では芥川の女性関係も絡めて考察した。主人公の信子とその妹照子については女性メンバーのなかで好感のもてる人とそうでない人で意見が分かれた。

 『二つの手紙』では「ドッペルゲンガー」がキーワードになっていることから、「ドッペルゲンガー」とは何なのか、芥川と「ドッペルゲンガー」にはどのような関係があるのか、他にも「ドッペルゲンガー」を取り上げられている作品と芥川の描く「ドッペルゲンガー」との違いなどを考えた。この回では、推理小説として読む人とホラー小説として読む人に分かれていて、考察の形も違いがありとても面白く感じた。

 梶井基次郎の『Kの昇天』では、「K」と「私」の関係や、「Kの死」、「月」について考えた。

 小林秀雄の『Xへの手紙』では、「Xと俺」の関係や「俺と小林秀雄」について考えた。

 萩原朔太郎の『猫町』では、主人公が見た「猫町」は何だったのか、何故「猫」なのか等、作品に出てくる猫についての考察が多かった。猫町に行きたいという意見が多かったことが一番印象に残っている。メンバーに猫好きが多かったのも理由の一つかもしれない。

 三島由紀夫の『金閣寺』では、実際にあった事件が題材になっていることから、作品だけでなくこの事件についても調べ、知る必要があった。三島以外の作家により描かれたこの事件についての作品との比較のなかで、私事ではあるのだが感じたことがある。三島の描く『金閣寺』では主人公がこれまでの自分の歩みを振り返りながら書かれており、そのなかに金閣寺に対する執着も描かれている。そのせいなのか、読んでいて主人公に感情移入をしてしまっていた。それほどこの作品には読み手に訴えるものがあるのだなと、思った。それだけ三島がこの事件について思うところがあった、ということでもあるはずだ。恥ずかしながら、私は三島の作品をあまり読んでいなかった。しかしこの作品をきっかけに三島の作品をとても好きだと感じた。

 江戸川乱歩の『人でなしの恋』では、「人形と人」について考えた。大事に大事にされた人形には魂が宿るという説から、人形には魂が宿っていてその魂に誘惑されてあの人形に夢中になってしまったのではないかという意見と、ただ単に人を愛することができず行き場のなくなった彼の愛が人形に向かってしまったのではないか、という意見や、ただ単にそういう癖なのではないかという意見など、様々な意見が出た。字で見るのと映像で見るのとでは見方も変わり、新鮮な気分であった。

 三島由紀夫の『葵上』では、『源氏物語』とも重ねて考えながら見ることができた。女性メンバーが多いからか、六条に肩入れをして考える人が多かった。こちらも字と映像では、やはり感じ方は違ったが、女性の執念や美しさなど、三島の「六条」がはっきり描き出されていてよかった。

 「梶井基次郎」を求めて松阪へ行き、かつて梶井も歩いたであろう松阪城跡を歩き、彼が見た景色を共有できたのだろうかと考えたりと、とても良い体験をしたように思う。松阪城内にある「本居宣長記念館」にも足を運び、宣長と、(少しの間であったが)梶井が暮らした松阪の地についても学んだ。かつて梶井が住んでいた家には現在別の方が住んでいるため、遠くからチラっと見るだけだったが、また一つ梶井に近づけたような気がした。

 今回は人の光や影、女性の美しさとその裏にある執念など、どこか人の本質をつくような作品や考察が多かったように思う。

 女性メンバーが多かったせいか、どうしても登場人物の女性への考察に目が行きがちであった。しかし作品を考察するうえではあらゆる可能性に視点を置いて考えるのだから、それもまた必要なことなのだなと私は感じた。

(三年)

 
 
COPYRIGHT:KOGAKKAN UNIVERSITY ALL RIGHTS RESERVED.

皇學館大学 文学部 国文学科研究室

〒516-8555
三重県伊勢市神田久志本町1704

   

HOME 皇學館大学文学部国文学科